糖尿病とフットケア
糖尿病は日本人の国民病ともいわれています。
「糖尿病ネットワーク」では、日本の糖尿病有病者(糖尿病を強く疑われる人)と糖尿病予備群(糖尿病の可能性を否定できない者)は、いずれも約1000万人といわれています。平成28年「国民健康・栄養調査」(厚生労働省)
この糖尿病有病者数(糖尿病を強く疑われる人)のうち2~3割は治療を受けていないと言われています。
糖尿病で怖いのは、「合併症」です
合併症というのは、ある病気に関連して起こる別の病気の事をいいます。
糖尿病の主な合併症は
糖尿病網膜症
糖尿病腎症
糖尿病神経障害
糖尿病血管障害
感染症
等々
糖尿病の合併症で怖いのは、脳梗塞、心筋梗塞は命に関わりますし、
網膜症で失明したり、腎症を患い人工透析で通院する方が多くいます。
そして、糖尿病で足を失う方。決して珍しい話ではありません。
どうして、糖尿病によって「足を失う方」が多いのでしょうか。
糖尿病の合併症により、足には下記「三つの問題」があります。
この問題によって足の壊疽(えそ)足の組織が腐ってしまうことにより、足を
切断する事態にまでなってしまうことは少なくありません。
糖尿病の方の足 三つの問題
1.血行障害
2.神経障害
3.感染
なぜ上記の三つが問題なのでしょうか?
1. 血行障害
身体が高血糖状態が続くと血管が傷つき、血流が滞ります。足は心臓から一番遠い位置にある臓器ですので、血流が一番滞りやすい場所になります。
足に怪我をしても、血流によって栄養が届きにくくなり、怪我が治癒しにくく、細菌などの感染にもかかりやすくなります。
足先の動脈硬化が進み血流が途絶えると、そこから壊疽(えそ)に一気に進行していきます。
2. 神経障害
血流の滞りと共に進行していくのが、末梢神経の障害です。足先には細い血管と神経があり、血流の滞りと共に末梢神経の代謝にも影響を及ぼします。末梢神経の障害がありますと、足先や足裏の感覚が鈍くなり、怪我をしても気づかず放置してしまったり、温度感覚も鈍くなるので電気カーペットやこたつなどでの低温やけどには注意が必要です。日常的な行為から大きな怪我に繋がる可能性があります。
3. 感染
血糖値が高いと水虫、細菌、ウィルスに対する抵抗力が弱まり感染しやすくなります。また血行障害もあると中々治癒するのも難しくなってきます。
怪我などから細菌感染にかかり、壊疽に進行する危険性があります。
お風呂から出たら、足の指の間まで水分を丁寧にふき取る、乾燥していれば保湿クリームで保湿をするなどして日々の感染対策が大切となります。
あるケースでは、糖尿病の方が雪の日に普通のシューズを履いて出かけ、靴下までビショビショに濡れてしまいました。「冷たい」という自覚がなかったため、帰宅後足を見るとすでに凍傷を起こしており、慌てて病院に行きますが、凍傷を起こした指は切断となってしまったそうです。
実はここからが糖尿病の怖いところです
壊疽した指先を切断し、縫合してそれで終わりではないのです。
何度も言いますが、糖尿病患者さんには血行障害があります。
血液が行き届かない虚血状態、さらに傷がついた場合、感染が進行すれば、壊疽は足先から足部、かかとへとどんどん進行してしまいます。血行障害がある足にはどんな外用薬を塗っても傷は治りません。傷を治すのに必要な栄養(血液)が行き届かないからです。
虚血状態のまま壊疽部分を切断しても、壊疽は進んでしまうので、血行再建手術やバイパス手術で血管を拡張する治療が必要になってきます。
私たちは、糖尿病患者さんのフットケアを行うことはありませんが、高齢者の中には長年高血糖を放置して、医療機関の治療を受けていない方もいらっしゃいます。
高齢者の足のケアをする際には、痛みやしびれがないか、皮膚の色、皮膚の温度(冷たいか熱いか)、傷や腫れやないか等注意をしてみていきます。
もちろん既往歴(病気の有無、病歴)は事前に確認します。
糖尿病によって、足を失わない為に出来ること
日々の生活習慣の改善、食事や運動はとても大切です。
そして、ご自身の足を一日一回はよく観察してみることです。
その際は、下記のチェックポイントを意識してみてください。
足を見るチェックポイント
・傷や腫れはないか
・肌の乾燥、ひび割れはないか
・指間などに水虫はないか
・タコやウオノメは出来ていないか
・爪の状態(伸びているか、変形していないか)
・関節に異常はないか
もし、糖尿病を患われていて、足に異常がある場合は「足の専門外来」などお近くの病院を受診するのをお勧めします。
何事も早期発見、早期治療が大切です。
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